【ブログ】木之下徹の認知症とともにより良く生きる:周辺症状?決めつける前に知っておくこと

病院に行って診てもらったほうがいいと思うのに、本人はいやがって怒り出すので、困っているんです。という言葉をよく聞きますが、どう考えたらいいのでしょう?教えて!木之下先生。

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足立浩二さん、78歳。妻は6年前に他界。仕事を持つ娘(足立佳子さん、50歳)と2人住まい。

 これまでうまく切り出せなかった話を父親に、「今日こそしよう」と佳子さん。帰りの電車でスマホに集中。クリニック検索。自宅からは遠くない認知症の専門のクリニックがあって、ほっとする。メモをとる。夜9時を回ったころ帰宅。食事の風景。

   「おとうさん」

   「ん?」

   「最近、よく物忘れするよね」

 浩二さんの顔には、嫌悪が混ざった苦い表情が浮かぶ。

 触れられたくない話のようだ。少し間が空いてから、

   「いやあ、そんなこと、ないな」

   「うそっ、いつも同じこと私に聞いてくるの、忘れたの」

   「そりゃ、年取れば誰だって、物忘れはあるよ。頭は問題ない」

   「じゃあ、さっき言ったこと、なんだった。ほらっ、もう忘れているでしょ」

   「人を試すような言い方はするな」

   「おとうさん、自分で物忘れがあるのが、わからないの」

   「しつこいなあ、もの忘れはない!」

   「だから・・・」

   「キブン悪い。もう飯、いらんっ」

 突然立ち上がって、自分の部屋にこもってしまいました。佳子さんの、「今日こそは」と思っていた目論見はまた外れます。前回、受診を勧めた時はこんな感じじゃなかった。食べ残したまま部屋にこもってしまうなんて。普段はあんなに穏やかだった浩二さんが、声を荒らげたことに、逆に佳子さんが、びっくりしてしまいました。

ヨミドクター  認知症の「周辺症状」と決めつける前に知っておくべきこと より

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