【ブログ】認知症の症状、っていうけど その3

最初は、小さな変化だった。

ここで前回の抗精神病薬の問題で、誤解を生まないようにちょっと追記。
「症状」をはたして、やみくもに、抗精神病薬で抑えるべきなのか。たんに、副作用が出やすいから、という問題だけではない。つまり、全く副作用のない抗精神病薬が開発されても、この問題は変わらない。そういう視点で述べています。そもそも、そういう薬、って作用ってなんなの?って話もあるしね。薬に罪はない。でも、そういう視点で、薬ができたってねえー??、という話でもある。本人のためでなく、家族のために飲む薬、って発想だよね。副作用とかリスクは本人が引き受ける。その違和感。なんとなし、明記したほうがいいかな、って思って。また、くわしく、どこかに書く。

ぼく:「どーぉ、ちょーし!」
施設に往診にいき、受診者に声かける

すると横から、スタッフが、いう。
スタッフ:「先生!、〇〇ちゃん、大声出すんです。」

なぜか、〇〇ちゃん。
ぼくなら、年下から、そう呼ばれたくはないね。
まっ、いっか。
ここは深掘りしない。

で、目の前のその人。
にこやかに椅子に座っている。
ぼく:「えっ、いま、にこにこ、してるじゃん。」

スタッフ:「さっきまで、大声で、騒いでたんです。」
「〇〇ちゃん! さっき、大声で騒いでたでしょ!」
「ったく。先生がくるときにはおとなしんだから。んもー。」
「先生に、みせてあげてよ!。さっきみたいに、はい!、大声出してみて!」

このセリフ。
うそのような、ホントの話である。
ぼくが、あんまり、スタッフに共感するような感じでないから、かなあ。
「すっごく大変だった」というのを、ぼくに少しでもわかってほしかったんだろうね。
まあ、ぼくの態度にも問題あり、だな。

とりあえず、大声出させようとしているスタッフに、
ぼく:「まあ、まあ、ちょっと、待っててね。」

どういう薬で解決できるか。
・・・。
でも、ここは、慎重に、考える。
・・・。
っていうか、わからないことは、人に聞くのが一番。
ぼく、えらい先生に、電話する。

昔は、こういう場合は?、んじゃ、こういう場合は?という具合に。
ともかく、いちいち、ぼくは、えらい先生に聞いて、教えてもらった。
だって、教科書なんて、ないんだもん。

ぼく:「先生、お忙しいとこ、すいません!」
「いーすっか。いまちょっと」

えらい先生:「おっ。いーよ。」

ぼく:「あっ、すいませーん!」
「んで、施設の人で、大声で、周り困ってんすっ。」
「でも、大声でメジャー ってないっすよね。」

このメジャー、というのは、メジャートランキライザー、つまり、おとなしくさせる薬、統合失調症の薬、抗精神病薬のことである。

えらい先生:「だな。大声でメジャーって、ねぇーな。」
「徘徊とかも、そうだぞ。おまえ、だすなよ。ダメだぜ。きかねぇーし。」
「それどころか、抗コリン作用とEPSだすだけだからな。」

ぼく:「おいそがし~とこ。あざーすっ!」
なんども電話するうちに、だいたい、答えはわかってるけどね。
でもね、それでもいいんです。
ぼくにとっては。
なんとくなく、困ると、人の声を聞きたくなるもんで。
これで、ぼく、落ち着くんです。


そこには、まだ薬で、解決しようとする自分がいた。

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単に、おとなしくなるから、と短絡的に使ってよいのかという態度に、
「医療」の感触から、違和感を感じるのだ。
しばしば、認知症に関わる医師はしばしば、そう思っているだろう話。
BPSDと周りが言う現象。
じつは、人間関係のせい、だったりする。
「さっき、いったじゃない」
「もー、すぐに、忘れるんだから。いやんなっちゃう」
そんな言葉を日々言われれば、誰も、そのうちに、ブチ切れる。
なぐる、けるの原因が、そうであるとする。
そういう根っこの解決なくして、おとなしくする薬を使ってよいのか、
という疑問である。

以前の話。
精神科医は、抗精神病薬を使う。
内科医は、デパスとか、マイナートランキライザーと言われるものを処方する。
認知症の人への、マイナートランキライザーの投薬は、好ましくない、と
権威ある論文(面倒なのでここでは引用しない)には書かれ、周知されている。
BPSDにマイナートランキライザーを第一選択薬だと思うのは、やめたほうがいい。
おとなしくもならない。
ときに、せん妄が出る。
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